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冬のキルトパジャマ開発秘話~暖かくても蒸れないものを~

早くもご好評のニットキルトパジャマですが、その素材開発には実は丸一年以上もかかりました。
そこには当店のこだわりを実現させるために何度も試行錯誤してくださった生地屋さんの大変な苦労が…。
この開発秘話をぜひ最後までお読みいただければ幸いです!

暖かくても蒸れないキルトパジャマを

中わたにナイロンウーリー糸を入れてみよう!

キルトパジャマは市場にたくさん出回っていますが、中わたがポリエステル100%のものがほとんどです。
ポリエステルはブログなどでも何度もご紹介させていただいているように、吸湿性がほとんどないため、蒸れの原因になってしまいます。
そこで、つくるパジャマではポリエステルではなく、ナイロン100%を中わたに入れることで吸湿性を高めようと考えました。
(もちろん肌に当たる、表・裏の生地は綿100%です。)

岩本:
F社長、今度は冬用のあったかいキルトの生地をやりたいなぁと思っているのですが…

F社長:
ニットキルト素材は色々あるで~。こんなんが良いとか言ってくれたら生地サンプル持っていくでー。

岩本:
中わたをポリエステルじゃなくてナイロンにしたいんですよね。

F社長:
何で?そんなキルト生地は基本的にないで!

岩本:
中わたといえどもポリエステルは吸湿性がないんでやっぱり蒸れやすいと思うんですよね。
その点、ナイロンは綿ほどではないけど、ちゃんと吸湿性があるから蒸れにくくなると思うんですよ。

F社長:
でもそんなんやったことないからな~。一回出来るか、試しに1反やってみよか!

<公定水分率からみる吸湿性>
綿:8.5%
麻(亜麻およびラミー):12.0%
絹:12.0%
羊毛:15.0%
レーヨン:11.0%
ナイロン:4.5%
アクリル:2.0%
ポリエステル:0.4%

ちなみに、中わたを綿100%にすればいいのではないかという声も聞こえてきそうですが、物性や重量、洗濯メンテナンスなどを考えると現実的ではないため、恐らく衣料用の生地としてはほとんど存在しないと思われます。

キルトの暖かさを最大限にする工夫を

エアタン加工でボリュームを出してみよう

また市場に出回っているキルトパジャマよりも暖かくしたいと思い、エアタン加工をほどこしました。
エアタン加工とは巨大なタンブラー乾燥機のような機械の中で水洗いしながら生地をもみほぐして乾燥させる加工のことで、生地を柔らかくするためによく使われる加工です。
柔らかくなると同時に、表地と裏地と中わたの収縮率が違うため、生地の表面がくしゅくしゅとボリュームが出ることで空気層がたっぷり生まれ、保温性がさらに高まるようにしました。

F社長:
一応、編めることは編めたけど、どうかな??

岩本:
いい感じですけど、何かもうちょっとボリューム感がほしいですね。
空気層がたっぷり出来て、もっと保温性が上がるんじゃないですかね?

F社長:
う~ん、ほなエアタンやってみよか?
もっと肌触りも柔らかくなるし、表・裏と中わたで収縮率が違うからくしゅくしゅしてええ感じにボリューム感でるんちゃうかな。
試しに1回やってみよか!

中わたにナイロンウーリー糸を入れたがために様々な問題が…

収縮率が安定しない

ボリューム感が出ない

生地幅が出ない

F社長:
どうかな?

岩本:
う~ん、何かもうちょっとボリュームがないと見るからに「あったかそう!」てならない気が…。くしゅくしゅ具合も少なくてノッペリしてる感じですし…。
あと、洗濯後の縮みと型崩れも気になりますね。
あと、生地幅もあんまり出てないと困るんですよね。。

F社長:
これな~、やっぱり中わたにナイロン糸を使ってるから、めちゃくちゃ難しいねん。
普通はポリエステルを入れるからボリューム感にしても、縮率にしても生地幅にしても安定しやすいねんけど…。

岩本:
編みの設計とかもうちょっと見直して何とかならないですかね?

F社長:
編むときのテンションのかけ方を見直して、もっかい編み設計(ゲージ数)から、中わたの分量から調整してみるわ…。。

修正ポイント

・編むときのテンションのかけ方
・編みの設計(糸番手、ゲージ数、目付)
・中わたの分量
・エアタン加工後の幅出し

この4つの工程を何度もやり直していただき、試作ができたら送ってもらって、修正をお願いして、また試作を作ってを何度も繰り返しました。
試験反だけでもやり直し5反以上!
気付けば丸1年が過ぎ、わたしたちもさすがにもう無理かと諦めそうになりました。
しかし、必死に何度も修正していただいた結果…。

究極のキルトパジャマが完成!

保温率42.6%、ダントツの暖かさ

生地の保温率(※)を比較すると、スムースニットが22%、3重ガーゼが29%、裏起毛スウェットが34%。それに比べてニットキルトがなんと42.6%!過去最高の保温率、つまりダントツの暖かさです。
(※保温率:からだが温まるスピードや度合い。値が小さいと、温まりにくい。あたたかインナー系で16%程度)

優れた吸湿性で蒸れにくいキルトパジャマを実現

ユニチカガーメンテック社に依頼した吸放湿性を測る試験でも1%と蒸れにくいデータが出ました。
綿100%や麻などの高いものでしたら、1.5%~2%以上の数値が出ますが、1%程度が蒸れにくさの目安になります。ポリエステル100%は0.5%も出ないので、やはり蒸れやすいと言えます。

あとがき

こうして過去最高の暖かさでありながら、蒸れにくいニットキルトは誕生しました。

必死に何度もやり直してくださった生地屋さんと加工屋さん(泣)
本当に大変だったと思います。。
完成したときには「こんな生地、どこにも無いで!」と本当に我が子の誕生のように喜んでくださっていました。
とても大変でしたが、これも全て「とにかく寒がりな方に暖かく快眠していただきたい」
という思いが作り手全員にあったからこそここまで頑張れたのだと思います。

この場をお借りして皆様に心から感謝申し上げます!本当にありがとうございました!

そんな職人さんたちの汗と涙の結晶、「ニットキルト」 ぜひお試しくださいませ!

補足:そもそもキルト(キルティング)生地とは?

布と布の間にわたを挟んだ生地のこと

表地と薄手の裏地の間に、フワフワのわたを挟み、その中わたがずれないようにマス目状にミシンがけしたものがキルト(キルティング)生地です。

非常に高い保温性が特徴

キルト生地は中わたが断熱材となるため、非常に暖かいのが特徴です。
発祥がロシア・中国・エジプトなどで防寒用として作られたのが始まりということからもその保温性の高さがよく分かりますよね。

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