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繊維、生地などの素材のこと。睡眠、健康のお話までパジャマ、睡眠百科事典です。冬のあったかパジャマ|フリースと綿のパジャマを徹底検証

冬のあったかパジャマといえば、ふわふわと起毛したようなフリースやマイクロファイバーのパジャマが最近よく出回っていますが、綿素材のネル、フランネル、裏起毛スウェットのパジャマなどと比べ、何が違うのか徹底検証してみました!
1.フリース、マイクロファイバーのパジャマの組成とは
ポリエステルなどの化学繊維です
フリースパジャマはポリエステルの一種である、ポリエチレンテレフタラート(PET)という化学繊維の糸で作られています。ポリエチレンテレフタラート(PET)は石油やペットボトルを再生して作ったリサイクル素材を原料にした化学繊維です。マイクロファイバーのパジャマも同様、ナイロンやポリエステルを原料とする合成繊維の糸で作れています。
2. 化学繊維のパジャマのメリット、デメリット
メリット:速乾性がある
冬のあったかパジャマは生地に厚みがあり、ただでさえ乾きづらいですよね。その点でいうと、綿などの天然素材のあったかパジャマに比べ、ポリエステルの化学繊維を原料としたフリースパジャマの方が乾きやすいです。理由は繊維のもつ吸水性にあります。実は綿やシルク、麻などの天然素材は吸水性に優れているのに対し、ポリエステルなどの化学繊維は吸水性がないためです。生地に水をかけたときにポリエステルなども水を吸っているように見えますが、繊維自体が水を取り込んでいるのではなく、繊維と繊維の間を水が通過しているだけです。
メリット:軽い
冬は保温性を重視するとどうしてもパジャマも重たいものになってしまいますが、フリースパジャマは綿の起毛パジャマなどと比べ軽いものが多いです。理由は重さの目安となる比重(物質の密度、単位体積あたり質量)は綿1.54に対し、ポリエステル1.38と小さいためです。ただ、糸の太さや生地に使われる本数、密度によって一概には言えないので、パジャマの製品重量などが記載されている場合はそちらを参考にしましょう。
メリット:安価
冬のパジャマの生地の方が夏素材よりも生地の糸密度が多くなったりするため高価になる傾向があります。その点でいうと、その年の作付、収穫量、相場などによって原料価格が変動しやすく、生産工程なども手間暇かかる綿などの天然素材のパジャマに比べ、人工的に一定量を効率よく生産できる化学繊維のパジャマの方が安価に作ることができます。もちろん、綿、ウール、シルク、ポリエステル、ナイロン、アクリル、キュプラなど素材にもよって一概には言えませんが、化学繊維の方が比較的安価です。
デメリット:静電気がおきやすい
冬は空気が乾燥し、静電気も発生しやすくなります。とくに起毛された生地などは静電気が起こりやすいです。人が静電気を感じるのは2000V以上と言われ、綿は帯電数値1000V以下、ポリエステルは約3500V。触れ合う素材同士の相性も大きく関係してくるため、一概には言えませんが、パジャマの素材そのものでいうとポリエステルの帯電数値自体は高いため、静電気がおきやすいといえます。また、あの「パチッ」という音からも分かるように静電気は決してお肌にはやさしくありません。
デメリット:洗濯による毛玉(ピリング)ができやすい
冬のふわふわした起毛素材は洗濯すると毛玉などができやすいですが、綿などに比べ、ポリエステルなどの素材の方がとくに毛玉ができやすいです。理由は繊維の強さで、洗濯時の摩擦などにより繊維が絡みやすくなってしまうからです。さらに先述したように静電気も起こりやすいために摩擦頻度も高くなりなおさら毛玉ができやすいです。
3. 綿のあったかパジャマの種類
ネル、フランネル、裏起毛スウェットなど
元々、ウールを原料にした毛織物であるフランネルに似せて、綿を原料にしたふわふわ起毛してつくった素材をコットンフランネルといいます。ネルはフランネルの略称で、ットンを原料にしたものを綿ネル、ウールを原料にしたものは本ネルなどといいます。ネルのパジャマだと、綿ネルのものがほとんどになります。また、コットンフランネルなどの織物に対し、スウェットやニット、タオルなどの編物の中でも裏はループ状に編み込まれて裏地のことを裏毛といいます。そして裏毛部分を起毛することを裏起毛といいます。肌に当たる部分はふわふわ柔らかで、裏起毛も冬のパジャマやルームウェアとして人気の素材です。
4.綿のパジャマのメリット、デメリット
メリット:暖かくても蒸れない
冬でも人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかきます。綿は吸水性・吸湿性が良いため、その汗をきちんと吸い、また水蒸気を吸ってくれます。反対にポリエステルなどの化学繊維は吸湿性がないので、湿気を逃がさず、ムレを感じてしまい、夜中に目をさますなど快眠を妨げる可能性があります。保温性が高いと体温も上がる分、湿気や汗を吸わないと結露となってしまい、逆に体を冷やしてしまいます。保温性が高い分、吸湿性が高い素材を選んで、蒸れないようにすることが大切です。
メリット:洗濯で汚れがとれやすい
冬だからといって夏よりもパジャマの洗濯頻度が少なくなっていませんか?冬でも人はコップ1杯分の汗をかきます。パジャマは冬でも皮脂汚れや細菌が多く付着しているため、きちんと汚れを落とし、清潔にしておくことが大切です。綿は親水性で水を好み、お洗濯時に水とくっつこうとするため、汚れがとれやすいです。反対にポリエステルは親油性で油を好み、皮脂などの油とくっつこうとするため、汚れがとれづらく、汚れが残ってしまうと、そこから雑菌などが繁殖し、臭いや肌トラブルの原因になる可能性があります。
デメリット:シワになりやすく、縮みやすい
実はメリットである、綿の優れた吸水性がシワになりやすく、縮みやすい原因です。洗濯の際、綿繊維が水分を吸収すると、引っ張られていた糸が自然な長さに戻ろうとした結果、縮んでしまいます。また、親水性の繊維には、「水を吸うと膨れる」といった性質があり、水を吸い込んだ綿繊維は、繊維の直径が20%近く大きくなり、乾燥し水分がなくなった際に繊維の元の配列がくずれ、生地にシワができます。反対に吸水性のないポリエステルはシワになりにくく、縮みにくいのはそのためです。
5.まとめ
冬用パジャマは保温性だけでなく、素材の特徴をよく知って買いましょう
フリース素材は部屋で過ごすルームウェア素材としてはまだ問題ないですが、寝具としてのパジャマとしてはあまりおすすめできません。いくら保温性があっても、結果として体を冷やしてしまっては意味がありません。必ず品質表示を確認して、出来るだけパジャマは天然素材のものを選びましょう。
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