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夏に必見!接触冷感のあるパジャマの選び方

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この記事の監修者岩本悠資
所属:岩本繊維株式会社 代表取締役
出身:1983年10月 京都生まれ
経歴 同志社大学経済学部卒業。
広告代理店入社、営業部配属。
岩本繊維入社後、日本全国の寝具専門店、家具店などの小売店への卸営業活動を経て、自社ECサイト「Living Mahoroba楽天店」「つくるパジャマ」オープン。睡眠健康指導士のアプローチで快眠に関する知識や寝装品、 パジャマ選びなどの情報をブログで発信。
資格
趣味 寝ること、育児、音楽鑑賞、お酒

年々、夏の気温が上昇し、冷房をいれて寝ることがほぼ必須になってきた昨今。涼しい寝室環境だけでなく、パジャマも薄手のガーゼ生地のもの、半袖・半ズボンのデザインのものなど涼しいものを選びたいですよね。今回は涼しいパジャマといえば、リネンなどに代表される、触るとヒンヤリする「接触冷感」のあるパジャマの選び方についてご紹介したいと思います。

1.そもそも接触冷感とは?

人の肌から物体に熱が移動して、冷たく感じることです

接触冷感とは、モノに触れたときに肌が冷たく感じる感覚のことですが、実はその物体自体の温度が低く、冷たいというわけではありません(冷蔵庫などで冷やしたりしていない限りは…)。ではなぜ触るとヒンヤリ冷たく感じるかというと、物体に触れたときに、人の肌の熱がその物体に移動するためです。熱は温度の高いほうから低いほうへ移動する性質があり、この性質を、「熱伝導性」といいます。熱伝導率が高いものほど熱を多く奪う、つまり冷たく感じることになります。同じ温度のものでも、素材によって熱伝導率が異なるため、ヒンヤリ冷たく感じたり感じなかったりするわけです。

2. 冷たく感じる基準とは?

q-max値で0.2以上が目安です

先述の「熱の移動量」を数値化したものが「最大熱吸収速度(q-max:キューマックス)」です。熱を吸収する最大速度、つまりq-max値が大きければ大きいほど、触れるとヒンヤリ冷たく感じるということです。鉄はこのq-max値が大きく、ウールは小さいです。それぞれが同じ温度でも、鉄などの金属は「冷たい」、ウールなどの衣服は「温かい」と感じるのはこのためです。生地でいうと、一般的に0.2以上(ΔT=20℃)であれば冷たく感じるといわれます。

3. 素材別の接触冷感

天然素材では麻100%が一番!

同じ綿100%や麻100%といっても、個体差があるため、一概には言えませんが、当店の素材で検査してみたところ、リネン(麻)100%で0.27、綿100%で0.18という結果でした。天然素材の中で0.2以上の冷たいと感じる素材は、やはり麻なのだということが分かりました。また、レーヨン100%は0.32という結果でした。当店のレーヨンは竹繊維100%を主原料とした再生セルロース繊維で、主原料などによってq-max値は様々だと思いますが、レーヨンも一般的には冷たいとされていますね。他にも、ポリエチレンや、ナイロン、ポリエステルなどの化学繊維も0.3以上で冷たいといえます。

4.接触冷感商品を選ぶときの注意点

ずっと冷たいわけではありません

先述したとおり、接触冷感というのは人の肌からパジャマに熱が移動することによって冷たく感じるもので、パジャマ自体が冷たいわけではありません。着ているうちに、肌と生地がずっと触れあっている部分は温度差がなくなり、当然冷たく感じなくなります。寝返りをうったりすることで、肌と生地で熱移動を繰り返すことのできる接着面がひんやり感を得られるのだと考えましょう。

麻やレーヨンなどの蒸れない素材を選びましょう

いくら接触冷感があっても化学繊維のものは避けましょう。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は吸湿性がないため、汗や湿気を逃がさず、蒸れてしまい、快眠の妨げとなります。反対に麻や綿、シルクなどの天然素材は吸湿性に優れているため、蒸れずに快適です。必ず、購入前に洗濯絵表示などで素材の確認をしましょう。ちなみにレーヨンは天然素材ではなく、指定外繊維という扱いになりますが、吸湿性に優れているので、パジャマには向いています。

加工による接触冷感は洗濯で効果が薄れる場合が

接触冷感の低い綿などの素材にキシリトール加工などの冷感加工で接触冷感をもたせた生地もあります。こういった加工は生地を染める段階での薬剤によるものなので、洗濯を繰り返していくうちに薬剤がおちていき、接触冷感が薄れていく場合があるので、やはり長く使うことを考えると、麻やレーヨンなどの素材のもともとの性質で接触冷感のあるものの方がおすすめです。

5.まとめ

夏に快適なパジャマを接触冷感だけで判断しない!

「ひんやり冷たくて快適!」というキャッチコピーのパジャマや寝装品が夏場はたくさん市場に出回っていますが、いくら接触冷感があっても、蒸れて寝苦しくなってしまっては意味がありません。また、夏に快適なパジャマの条件は他にも「薄手で涼しいもの」「通気性のよい素材」「シャリ感がありベタつかない素材」「半袖やゆとりのあるサイズ感、デザインで風通しのよいもの」など様々です。こういった条件を考慮しながら、より涼しさを得られる接触冷感のある麻やレーヨンなどのパジャマを選んでみてはいかがでしょうか?

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